選ぶための原則

審議会が選択する玩具の評価基準

玩具を評価する以前に、それが何のために使われるかという目的をはっきりさせなければなりません。勿論、玩具は遊ぶためにあるのですが、子供はなぜ遊ぶのでしょう、そして子供の発達にとって子供の遊びはどのような意味があるのでしょう。
創立メンバーの一人である、発達心理学者のヒルデガルト・へッツァー夫人は「遊びは子供なりに形を扱うことです。」と述べています。子供は生まれながらにして遊ぶ用意があり、その好奇心こそ行動を起こすバネなのです。ですから、玩具というものは主として子供の遊びを刺激し、子供らしい興味を起こさせる機能を果たすようでなくてはなりません。
子供を取り巻く環境はこの50年で大きく変化し、それと共に子供の遊び方も変わってきました。ですからそれに伴って個々の評価基準の意義も当然変わってきたのです。
たとえば、素材の質と耐久性についていえば、設立当初より今日のほうがはるかに高い水準を要求されるようになってきたわけです。反面、昔よりはカラフルな玩具に対して寛容な目でみるようになってきています。
年齢別区分けも昔とは違った尺度でとらえるべきです。昔だったらもっと年齢のいった子供が出来るとされていたことを、今の子供達は幼い時にやってのけてしまうのですから。

​評価項目

子供の年齢と発育段階

たいていの場合、玩具はある年齢層を対象に作られています。逆にいえば、その年齢の子供の要求を満たすものでなくてはならないということです。幼い子供を対象にしながら、大きな子供の能力を必要とするような玩具は、結局、使いこなすことができないので落胆させるだけになってしまいます。

想像力

玩具は子供の想像力を刺激すべきもので、それを狭めるものであってはなりません。今の玩具は昔よりディテ-ルまで作りすぎるきらいがあります。人形に電子部品を入れるのを私達は今でも否定しています。お話しする人形は、子供が人形と自由におしゃべりすることと取って代われるわけでもなく、それを促すものでもありません

周囲の世界の体験

遊びは日々の生活と、子供の印象的な体験を模倣したものといえます。
現代では子供の世界にテレビとコンピューターもすっかり入り込んでいます。
玩具は子供が関心のあるテーマと向かい合う助けになるべきです

遊びのバリエーション(多様性)

玩具はいろいろな遊び方ができて、バリエーションや組み合わせができるものでなくてはなりません。子供が自分自身で工夫できるようなものがいいのです。

素材と加工

素材と加工法は近年総じて改善されてきましたので、玩具の質に異議を唱えることは少なくなってきました

デザイン、形と色

これらは多様な遊び方と想像力の世界に大きな影響を与えます。過剰なゴテゴテした装飾は遊びの本質から注意をそらしてしまいます

大きさと重さ

玩具の適切な大きさは玩具の目的と子供の年齢に関わります。巨大なテディベア-はあちこちに持ち歩くには不適切です。

数と量

玩具で遊ぶ楽しさや達成感は適切な玩具の数量があるかどうかに左右されます。
積み木はたくさんあってはじめていいものが作れるのです。近年、構成玩具の種類と発展にはめざましいものがあります。むかしは簡単な基本セットと補助パーツセットがあるだけで、子供は思いのままに作り積み木の特性も自然に体得していきました。
今では構成玩具はモデル作りのようになっていて、マニュアルに従ってつくるようになっています。それ自体は否定的には見なされませんが、自分でオリジナルを作るほうが優っているのは言うまでもありません。

構造と仕掛け

これは子供向けに考えられ、また子供から理解されなくてはなりません。ただ、時と共に比較的複雑な構造の玩具で遊べる子供の年齢が、どんどん低くなっているのは確かです

耐久性

これは遊びの目的と使う期間に相当しなくてはなりません。玩具の良さは弱点と比例します。わざとでなく、使っているうちに壊れてしまうと子供ががっかりするという点を、私達はもっと真剣に考えるべきです。大人から与えられた玩具が使用に耐えるものかどうか、は大人の世界への信頼感にも関わってきます。

安全性

70年代にヨーロッパでは玩具の安全基準がつくられました。これを機に「シュピール・グート」は評価基準の一つとして安全性を取り入れました。この安全規格はすべてのヨーロッパ諸国で法的に有効なもので各玩具の種類で安全基準がいろいろと規定されています。
審議会のテストでは、更に「間違った使い方にならないよう安全性が考慮されているか」という点も評価します。たとえば、玩具で遊んでいる時に危険がないかどうか、あるいは、その玩具だったらむしろ違う年齢層の子供に適切なのではないかという点も考慮するのです。

環境へのアセスメント(エコロジー)

80年代にはあらゆる分野で環境保護の意識が広まり、審議会も1989年から「シュピール・グート」の評価基準に取り入れました。テスト前に各メーカーは材料についての情報も提出する義務があります。その玩具が環境に優しいかを判断するには様々な要素がからんできます。例えば、素材そのものの特性、製造・使用・処理の際にどのくらいのエネルギーを必要とし、環境を汚染するかといったことです。
また、玩具が長期間使用でき、修理可能かどうか、また材料を再利用することができるかということです。勿論、子供の健康を保護するという点も考えなくてはなりません。

価格

良い玩具というものは、様々な価格帯にまたがっています。普通、私達が玩具を評価する場合、価格そのものを考慮することはありません。消費者はその玩具が値段に見合ったもので、納得して支払えるかを自分で判断すべきだと思います。

玩具 試験法

試験の過程:

1. 約500点の試験に値する製品の選定(予選 - 毎年開かれる世界最大のニュールンベルク国際玩具見本市はとくに重要です)

    生産者からの問い合せについても応じます。

2. 家庭あるいは施設において、子供たちがテストします。書面による報告がなされます。

3. 審査員会議(学際的に試験報告に基づいて)において、「良い玩具」についての議論、決定がなされます。認定、拒否、改善案、あ       るいは試験の繰り返しなどについて議事録が作成されます。

4. 「spiel gut」証書あるいは拒否の理由が生産者もしくはデザイナーに送られます。


 

経験豊かな専門家たちによる事前の選定にもかかわらず、テストされた玩具のうち「spielgut」の認定を受けることができるのは半分だけです

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